1-9月ビール類 出荷量最低に

ビール大手各社が13日発表したビール類(ビール、発泡酒、第3のビール)の今年1−9月の出荷量(課税ベース)は、前年同期比3・4%減の約3億2539万ケース(1ケース=大瓶20本換算)と、7年連続で減少して過去最低を更新した。東日本大震災や夏場の台風による消費の落ち込みが響いた。メーカー別のシェアでは、アサヒビールが1−9月として2年連続で首位だった。

 酒類別にみると、ビールは前年同期比4・2%減、発泡酒は12・7%減で、ビールは1−9月として過去最低となった。第3のビールは2・6%増と同期で過去最高となり、低価格の「第3」へのシフトが続いている。ビール類に占める構成比でも、ビールが49・0%と過去最低、第3が35・3%と過去最高を更新した。

 メーカー別のシェアではアサヒが38%、2位のキリンビールが36・4%。全社がビール類の販売量で前年同期比マイナスとなった。ただ、第3ではサントリーの「金麦」が16・7%増、アサヒの「クリアアサヒ」が13・2%増となるなど、震災後に強まった「家飲み」需要を取り込んで大きく伸びた。

  

ミラーレス戦争 各社の戦略は

2強の一角がついに動いた。デジタル一眼レフカメラでキヤノンと世界市場を二分するニコンは、9月21日、ミラーレスカメラに参入することを発表した。

 ニコンが10月20日に世界同時発売する「Nikon1」は、一眼レフからミラー部分を取り除いたミラーレス構造を採用。レンズ交換式のデジカメで世界最小を実現、専用の交換レンズだけでなく、アダプターを装着すれば既存のニコン製レンズも使える。販売価格は標準レンズとのセットで約7万円からの想定だ。

 ミラーレスは小さくて軽く、持ち運びに便利なことから、女性層を中心に支持を集める。調査会社BCNによると、国内の一眼レフ販売に占めるミラーレスの比率は、昨年9月の25.8%から今年8月に41.4%へ拡大中だ。2008年にパナソニックが先鞭をつけ、続いてオリンパスとソニーが参入。ペンタックスも新製品を投入した。

 業界中が群がる背景には、コンパクトデジカメの深刻な値崩れがある。アジア需要増で販売が伸びる一眼レフを尻目に、コンパクトはカメラ付き携帯電話との顧客争奪戦が激化。年約15%の販価下落を強いられている。各社ともに、コンパクトより高単価で交換レンズなど付加価値需要も見込めるミラーレスへと、顧客の乗り換えを促進、カメラ事業の収益向上を狙う。

 ニコンも好採算の一眼レフで稼ぐ一方、コンパクトは価格競争に巻き込まれ、黒字を確保するのがやっとだ。「3本目の柱として育成することで成長戦略を加速させたい」と、ニコンの岩岡徹マーケティング本部長は意気込む。

 実は同業他社では、コンパクトを展開する富士フイルムホールディングスも、来春発売に向けミラーレスの開発を進める。「投入を検討中であることは事実」(富士フイルム)。となれば、国内メーカーで参入表明していないのは、2社だけ。うち1社はアイデア重視の独自路線を標榜するカシオ計算機。ただカメラ事業は赤字続きで、開発費をつぎ込めない台所事情から、参入の公算は低い。

■“洞ヶ峠”のキヤノン

 注目は何と言っても、残りの1社。一眼レフ王者であるキヤノンの動向だ。

 キヤノンは「デジタル一眼カメラの小型・軽量化のためミラーレスを含めた構造を研究中」とする。実際に「小型一眼」のプロジェクトチームで新製品開発が水面下で進行、関係者間では「来春にもミラーレスを投入するのではないか」とみられていた。

 だがここに来て「キヤノンはミラーレスを出さないのではないか」(関係筋)との見方も急浮上。「ミラーを備えた小型軽量タイプの一眼レフ」という、ライバルより一歩先の製品開発を優先する可能性はあるようだ。

 ミラーレスはファインダーをのぞいて撮影できない構造から、シャッタースピードが遅れる欠点があり、動く被写体などの本格撮影には不向きとされる。キヤノンがミラー搭載の小型一眼を発売するとなれば、小型軽量でかつ高い撮影能力も備えた、画期的な製品になるかもしれない。

 そもそも、ミラーレスが売れている市場は、日本と韓国など一部地域に限定される。主要市場の欧米では認知度が低い。「世界では年間230万の販売台数でしかない(デジカメ販売合計の2%未満)。今後グローバルに拡大していくかは疑わしい」とテクノ・システム・リサーチの大森鉄男氏は分析する。

 キヤノンは今まで、新しい製品が台頭してもそれが市場に浸透するかじっくりと見極めてから、ようやく自社製品を投入する方針を貫いている。ひとたび製品化すれば、あとは一気呵成の展開で市場を支配した。今回も「小型一眼」プロジェクトをどのような形で具現化するかは、世界的な需要動向を分析しながら慎重に判断するもようだ。

 参入決定のニコンに対し、より有利な方向を見定めようと、“洞ヶ峠”を決め込むキヤノン。両社の対照的な姿勢が吉凶どちらに転ぶか。それはカメラ市場全体の将来をも大きく左右する。

(本誌:梅咲恵司=週刊東洋経済2011年10月1日号)
※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

  

基金拡充策を可決 スロバキア

【ウィーン樋口直樹】スロバキア議会は13日、財政危機国への融資などを担う欧州金融安定化基金(EFSF)の機能拡充策を賛成多数で可決した。11日には連立与党内の足並みの乱れで否決されたが、13日の再投票では最大野党「スメル」が賛成に回った。

 これでEFSF拡充策をユーロ圏17カ国がそろって承認。EFSFは実質融資枠が現在の2500億ユーロ(約26兆円)から4400億ユーロに拡大され、(1)財政危機に陥る前の予防的活用(2)各国政府を通じた金融機関の資本増強(3)流通市場での国債購入−−が可能になる。

 ギリシャの財政危機に端を発した欧州債務危機が深刻化し、仏・ベルギー系金融大手デクシアが破綻に追い込まれ、EFSFの早急な拡充が迫られていた。今後は危機拡大を防ぐため、EFSFの2兆ユーロ程度への規模再拡大などが焦点となる。

 スロバキア政府は、野党側がEFSF拡充策の賛成に回る条件としてきた総選挙の前倒しを受け入れ、13日の議会で来年3月の総選挙実施も決めた。

 EFSFの拡充策は、7月のユーロ圏首脳会合で合意されたが、スロバキア議会の承認だけが残っていた。ユーロ圏で所得水準が最低レベルのスロバキアには、放漫財政で巨額の財政赤字を抱えたギリシャなど、自国より裕福な国の救済に強い不満があった。