厚労省が特定看護師の骨子案

厚生労働省は7日、高い能力と実務経験を持つ看護師に、医師の補助として高度な医療行為を認める「特定看護師(仮称)」の導入を決め、具体的な基準を盛り込んだ骨子案を検討会に示した。特定看護師が実施可能な医療行為(特定行為)は、床ずれで壊死(えし)した組織の切除や、脱水症状の際の点滴などが想定されているが、詳細は今後検討していく。

 厚労省は、看護師など医療スタッフの役割を広げ、連携して治療にあたる「チーム医療」を推進しており、今回の制度導入はその一環。背景には、医療の高度化や患者の高齢化で、医療現場の負担が増えていることがある。高い能力を持つ看護師が医療の一部を担うことで、質の高い医療を広く提供することを狙いとしている。

 看護師の医療行為については、現行法でも医師の指示の下、「診療の補助」として行われているものもあるが、範囲があいまいで、医療機関によって実施内容が異なっていた。

 新制度では、特定看護師が行える「特定行為」を定義。5年以上の実務経験があり、8カ月〜2年程度の専門研修を受け国家試験に合格し、認証を受けた特定看護師は、医師の大枠の指示の下、自主的な判断で「特定行為」を行うことを可能にする。

 厚労省は保健師助産師看護師法改正案を来年の通常国会に提出、早ければ平成25年度の開始を目指す。

 ただ、「特定行為」の具体的内容をめぐっては、この日開かれた厚労省の検討会でも、委員から「法律で明確に規定することで、現在看護師が行っている医療行為が行えなくなる可能性もあり現場が混乱する」などの意見も出された。日本医師会などは「患者への安全性が損なわれる」などとして、特定看護師の導入自体に反対しており、議論は今後も続きそうだ。

【用語解説】特定看護師

 医師の大枠の指示の下で、難易度の高い医療行為の一部を担うことを認められた看護師。厚労省の骨子案では、医師や歯科医師の指示の下、実践的な理解力、思考力、判断力などを持って行わなければ、衛生上危害を生じる恐れがある行為を「特定行為」と規定。専門研修を受けた上で国家試験に合格し、認証を受ければ、医師の治療計画を超えない範囲で患者の症状を自ら判断し、「特定行為」を行うことができるとしている。

  

奈良に弥生前期最大の水田跡

奈良県立橿原考古学研究所は8日、同県御所市條の中西遺跡で、弥生時代前期(約2400年前)としては国内最大の水田跡(約2万平方メートル)を発見したと発表した。水田が河川の氾濫による土砂で埋まった後、大規模開発などが行われなかったため地中に残っていたとみられ、橿考研は「当時の水田開発の仕方が非常によく分かる発見」と評価している。

 発掘調査は京奈和道のインターチェンジ工事に伴い今年4月から約1万3500平方メートルで行われている。

 同遺跡は緩やかな傾斜地。水田跡は約850枚あって、いずれもあぜ道で細かく区切られ、1枚あたり東西4メートル、南北3メートルほどの小さなものが多かった。水田に水をためるためには、地面を水平にする土木工事が必要で、橿考研は「1枚あたりの面積が小さいのは、土木工事の労力を抑えるためでは」とみている。

 今回の調査では、水田跡が約9000平方メートル見つかり、過去の調査で確認された約7000平方メートルに加え、隣接地で継続中の発掘調査でも現時点で約4000平方メートルを検出。合わせると約2万平方メートルになるという。

 これまで弥生時代前期の大規模な水田跡としては、服部遺跡(滋賀県守山市)が約1万8700平方メートルで最も大きく、次いで池島・福万寺遺跡(大阪府八尾市・東大阪市)の1万8000平方メートルだった。調査した橿考研の本村充保・主任研究員は「水田を開発する高い計画性と、実行するための技術力・労働力が備わった集団が周辺にいたことが分かる」と話している。

 現地説明会は12日午前10時〜午後3時。JR玉手駅から南西約1.4キロ。駐車場あり。小雨決行。【高島博之】

  

ホンダ 新型ASIMOは自ら行動

ホンダは8日、人間型ロボット「ASIMO」の新型を発表した。自動制御装置を新たに搭載して自律性を高め、人の操作を介さず連続で動き続けるようになった。知能、身体両面での状況適応能力も向上させ、公共の場所などでの実用化に近づいた。同社は「『新型ASIMO』は、周囲の人の動きに合わせて自ら行動する『判断』能力を備えたことによって、これまでの『自動機械』から『自律機械』へと進化した」としている。

【写真特集】液体を注ぎ、手話もする…進化した「ASIMO」

 知的能力については、各種センサーからの情報を総合的に判断し、周囲の状況や自身の行動決定などを行うシステムを新たに開発。行動の途中でも相手の反応に応じて行動を変えたり、人の動きなどに合わせて対応できるようになった。視覚センサーと聴覚センサーを連動させ、顔と音声を同時に認識することで、人には難しい複数人の発話を同時に聞き分けられるという。

 身体能力も高まった。従来よりも脚力を強くしたことや脚の可動域を拡大したことに加え、着地位置を動作中に変更できる新たな制御技術を取り入れたことで、歩行や走行、バック走行、片足ジャンプ、両足ジャンプなどを連続して行えるように。これにより、凹凸のある路面でも安定姿勢を保って歩けるなど、外部の状況の変化に、より柔軟に適応できるようになった。

 作業機能については、手には手のひらに触覚センサー、5本の指にそれぞれ力センサーを内蔵し、指は独立して制御できるように。視覚や触覚と組み合わせた物体認識技術と組み合わせることで、瓶を手に取ってふたをひねり、中身の液体を軟らかい紙コップに注ぐなど、器用な作業が可能になった。複雑な指の動きが必要な手話表現もできるという。